ロック(ROCK)は音楽のジャンルの一つであるが、定義も広く狭く様々で、その分類は、歴史や文化的側面に符号させて多岐にわたる。
しかも、レコード会社やショップでコンシューマー向けを理由として分類を個性的にしたりするので、複雑化に拍車をかけている。
それはロックが「時代とともに進化する音楽」であり、1960年代以降の音楽文化の歴史そのものになっている由縁ではあるが………。
このサイトのロック分類では、なるべく耳慣れている名称を優先的に使用し、足りない部分をアレンジしてまとめることとする。
細かな分類は評論家や研究者にお任せして、その分類を代表するミュージシャンやバンドのアルバムを解説する。実用的にはこれで十分ではと考えている。
ロックン・ロール
もともとは「セックス」を意味する黒人のスラングから生まれた言葉だが、
1950年代前半までに、アメリカで「リズム&ブルース」と「カントリー&ウェスタン」とを基にして生まれた。8ビートとスリーコードによる軽快なノリのシンプルなサウンドが特徴。
その人気は、ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」(1954年)の爆発的ヒットに始まり、チャック・ベリー、リトル・リチャードの登場、エルヴィス・プレスリーという大スターも誕生(1956年)。その後、バディ・ホリー、ロイ・オービソン、エヴァリー・ブラザーズらが続いた。イギリスでは、「イギリスのプレスリー」でクリフ・リチャードが人気を集めた。
ミュージシャン:エルヴィス・プレスリー、チャック・ベリー、ビル・ヘイリー、リトル・リチャード、バディ・ホリー、ジョニー・キャッシュ、カール・パーキンス、ロイ・オービスン、エヴァリー・ブラザーズ、クリフ・リチャードなど
ポップ・ロック
1960年代、メジャーレコードがインディーズに奪われていた音楽市場を取り戻すべく、ロックン・ロールを甘くソフトなポップ・ソングに仕上げた「ポップ・ロック」をリリース、ヒットさせる。
ポール・アンカやパット・ブーンがアイドルとして登場。また、ロネッツ、クリスタルズなどの女性グループが人気を集めた。
ミュージシャン:ポール・アンカ、ニール・セダカ、パット・ブーン
ソウル・ミュージック
1950年代、ロックン・ロールが白人に人気を集中するなか、黒人たちのあいだでは、宗教歌であるゴスペルの歌唱スタイルとR&Bを融合させた「ソウル・ミュージック」が台頭する。白人の手法、スタイルを取り入れた初の黒人経営のレコード会社「モータウン」も誕生した。
ミュージシャン:レイ・チャールズ、サム・クック、ジェームス・ブラウン、スモーキー・ロビンソン&ミラクルズ、シュープリームス、テンプテーションズ
サーフ/ホッドロッド・ミュージック
ロックはボーカルを中心とするサウンドメイクが基本だが、ロックン・ロール初期からインストルメンタルの作品も存在。その主役にエレクトリック・ギターを置いたのが、1958年に登場するデュアン・エディと1960年、日本にもエレキギター・ブームを起こしたザ・ベンチャーズである。
そして、アメリカ西海岸の若者たちの間で1961年頃から流行したのが、サーフィンをしている感覚をエレクトリックギターを中心のインスト音楽で表現したのが「サーフ・ミュージック」である。
インスト中心のサウンドにボーカルをプラスしたのがビーチ・ボーイズ。ビーチ・ボーイズの大人気によりサーフ・ミュージックは一挙に全米に広がった。また、歌詞のテーマがホットロッド・レース(アマチュアによる公道での改造自動車レース)にも及んだため、これらをサーフィン・ホットロッド・サウンドとよぶ。
ブリティッシュ・インヴェイジョン
イギリスでは、ロックン・ロールの影響は徐々に広がり、マージー川周辺では多くのロックン・ロール・バンドが生まれた。のちにマージー・ビートと呼ばれるこのシーンから、あのリヴァプール出身のビートルズも人気を集め出していた。
ロンドンのクラブシーンでは、R&Bの色が強いヤードバーズ、アニマルズ、ローリング・ストーンズが台頭し、イギリス独自の多彩なブリティッシュ・ビートが誕生した。
1964年、アメリカ進出を果たしたビートルズが熱狂を巻きおこし、成功を収めたことにより、イギリスのミュージシャンがアメリカ市場で成功する「ブリティッシュ・インベイジョン」という現象がおきる。
フォーク・ロックの誕生
このイギリス勢に刺激を受けて、アメリカのフォーク界の雄、ボブ・ディランはバーズらとともにフォークとロックン・ロールを融合した「フォーク・ロック」を誕生させ、ロックン・ロールが社会問題にも問いかける意味を獲得し、その後のアメリカン・ロックの源流となった。
フォーク・ロックの代表的アーティストは、ボブ・ディラン、バーズ、タートルズ、ママス&パパス、バッファロー・スプリングフィールドなどがいる。
この「フォーク・ロック」に見るアメリカの逆襲は、イギリスのミュージシャンを刺激し、英米のロックシーンはお互いに影響を受けながら、進化していき近未来のグローバル化の兆しをみせる。