1970年は、ロックシーンの主役たちの交代を象徴する年となり、60年代のロックを牽引してきたビートルズの解散、さらに流星のごとく登場し、ロックの新境地を導いたジミ・ヘンドリックスの窒息死、ジャニス・ジョップリンの心臓麻痺による急死とドラッグが引き金となった事件が重なり、若者たちのフラワー・ムーヴメントは急速に輝きを失い、60年代のロックは一つの歴史の役目を終えた。
社会の変革力としてのロックの役割は減退したものの、すでにロックは音楽シーンのメインストリームであり続けることに十分に浸透していた。 元ビートルズのジョン・レノン、ポールマッカートニー、ジョージ・ハリソン、リンゴ・スターや、ニール・ヤング、ボブ・ディラン、エリック・クラプトンらのヒーローたちは、ソロ活動で60年代の残像を感じさせながらも、ロック・シーンをリードした。
新しい志向へと変化した70年代は、音楽活動もバンドから個への時代の流れがあった。アメリカでは、ジェイムス・テイラー、キャロル・キング、ジョニ・ミッチェル、ビリー・ジョエルの登場へと続いた。イギリスでは、エルトン・ジョン、ヴァン・モリソンらが注目を集めた。 同様にソウル・シーンでも、カーティス・メンフィールド、マーヴィン・ゲイ、スティービー・ワンダーらがニュー・ソウルと呼ばれるメッセージ性の強い自作曲をヒットチャートに送りこんでいた。